屋敷林を知っていますか

 屋敷林という存在を知っていますか。
 その名のごとく、邸(屋敷、やしき)にある林で、一般に言う庭の木とは異なります。その多くは母屋を北風などの強風から守るために建物を囲むようにして植えられ、背の高い、大きな木であることが特徴です。庭木のように刈り込みや形をつくるような剪定・手入れは行いません。ほぼ自然の形(本来の樹形)です。長い時間をかけて大地に不動だにせず根ざし、天高くそびえる大木となったその風体と生命力は、我々人間のスケールや想像をはるかに超えています。(続きは「屋敷林と東京の緑」を参照)。
 こうした屋敷林は東京でも見ることができますが、都市開発が極度に進んだことや維持管理の困難、あるいは相続税の支払いといったことが要因となり、今では消失の一途です。
 皆さんがぶらりと散歩や街歩きをするとき、ひょっとしたら屋敷林に出会えるかもしれません。そんな時、屋敷林という希有な緑の存在について今一度、心を巡らせてください。
 当会は小さな団体ですが、屋敷林を中心に今ある緑を残すことが暮らしの公益となり、社会の常識となるべきとの信念のもと、草の根の保全活動を進めています。

屋敷林の表情

 屋敷林は原則個人の所有であることから、あまり表に出ることはありません。しかし、その存在と価値を正しく知っていただくために、当会会員の許可を得て屋敷林の一隅を紹介します。