東京 屋敷林ネットワーク


    

東京の緑と屋敷林






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屋敷林とは 
 屋敷林の統一された言い回しや定義はありませんが、読み方一つとっても「やしきりん」、「やしきばやし」があり、所有者の中には屋敷森(やしきもり)という言い方をされる人もおられます。定義づけでは各種文献などをみると、「防風対策等として屋敷の周囲にめぐらされた樹林のこと」のように辞典のように説明しているケースが多々見られます。
 しかしながら、屋敷林は生成時よりも都市の発展や時代の変化と共にその価値が変貌してきており、多様な性格・機能をふまえた性格づけが行われる必要があります。
 東京の屋敷林だけでなく、地方のものも含め、その状態は囲繞性(屋敷を取り囲んでいること)、超高木性(屋敷より一段と樹高が高いこと)、風致性(遠方から視認して自然あるいは人里景観として優れていること)が備わっており、加えて今日的な視点として歴史性(屋敷も含め、世代を超えて維持されていること)、自然環境機能((クールアイランド、雨水浸透、遮音)、環境学習機能(準公開屋敷林での落葉焚や堆肥作り、炭づくり、植物観察、タケノコ等の収穫祭など)が注目されます。また、季節感や安らぎ等を感じる心的・情操面での客体として、農地もあわせ、デジタル時代のヒトのココロには特効薬と言えましょう。屋敷林は、都市化、人工化、デジタル・ネットワーク化、即物化などで氾濫するこの世にあって、後天的な役割を持つほどまでに変貌していると考えられます。
 こうしたことをふまえ、ここでは大都市での屋敷林を時代に即して以下のように整理したいと思います。
「主として居宅を防護するために植栽された樹木群が、日常生活との関わり合いの中で世代を越えて育まれ、高木化等により周囲と比較して際だって風致・風格性を増し、またその一団が都市の環境改善や生物・情操資源として大きな役割を持つようになったもの」

 なお、当会では「屋敷林」の呼称の混乱を避けるために「やしきりん」とします。
東京の緑と屋敷林
 東京の緑は、戦後、経済の高度成長と共に都市への人口集中が進み、住宅供給等の必要から樹林や畑が用地として供され、大幅に減少しました。昭和40年代の全国で発現した各種公害問題は、経済成長の負の遺産と言われていますが、緑の大幅な減少も実はこうした流れの一環にあります。昭和49年の東京のみどり率※は、区部29.9%、多摩部86.1%、全体(島しょを除く)では66.9%でしたが、最近10年間の推移では以下の調査結果が出ています。(出典:都環境局)
 平成15年 都全域52.4%  区部20.0%   多摩部69.8%
 平成25年 都全域50.5%  区部19.8%   多摩部67.1% 
 ※みどり率
    樹林地、草地、農地、屋上緑化等実際の緑で覆われた土地の面積に、裸地(運動場など)や水面
    を加えた面積割合で実際に緑でない分も含まれる指標
 
 緑の減少は歴然としていますが、比率ではなく具体的な消失面積で計算しますと、             昭和49年 → 平成25年 40年間 都全域で 178,187ha×0.164≒29,222ha 減少 これは23区の約半分にあたります。また、区部でみると  62,757ha×0.101=6,338ha 減少 これは都心3区に新宿を合わせたほどの大きさです。知らず知らずに大変な規模の緑がなくなっていたのです。 
 昔の公害問題はローカルな側面がありましたが、今や異常気象、ゲリラ豪雨といった地球規模の気象変動が身近になり、誰でもが脅かされる時代になりました。恐ろしいことです。地球がおかしいのは、必然の自然変動に加えて過大な人間活動に由来しているのでしょうが、世界的な緑の喪失は人為が要因です。環境問題への関心と危惧は最近の企業でも高まるようになりました※が、果たしてどこまでシリアスなのでしょうか。
    ※2018年春以降になって、生命保険会社や大手都市銀行は、気候変動に影響の大きい石炭火力発
    電への融資厳格化、あるいは新規投資を中止、また環境管理計画の策定していない大規模開発や
    建設事業も与信を禁止するなど、ESG分野(環境、社会、ガバナンス)への投資が加速している
    のはその一例。                             
 振り返って大都市東京の緑を俯瞰すると、都市公園の緑のほかに市街地の中にかろうじて残る小さな緑の島が見られます。これらは個人の持つ屋敷林、寺社・神社の境内の緑、研究所敷地内の緑なのです。とても小さな緑ですので、あっという間に消えそうですが、今日の環境異変や世の低関心に照らせば、そうなってはならないものと考えます。
 特に屋敷林は、個人所有であり、日々ご苦労されて維持しておりますが、存続は切実な問題です。地域の緑として位置していくには、相続税や管理負担などの問題があり、克服は容易ではありません。民有地であるので自己責任で対処すれば、との声が聞こえそうですが、もうそんな時代ではないのではないでしょうか。これだけ屋敷林が貴重になると公的価値への格上げが必要であり、制度面、経済面等でのバックアップが求められます。そのための行動は、何なのでしょうか。

   考えて下さい。今や 東京の屋敷林は、後世に誇る地域のダイヤモンド なのです。



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